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私の卒業研究(栄養学部・保健栄養学科 栄養科学専攻)

研究分野
アレルギー食の研究
卒業研究テーマ
食物アレルギーに対応した
小麦・乳・卵代替のスポンジケーキ
〜米粉の違いによる食味特性〜
 

食物アレルギーで苦しむ人に、
栄養学、調理学の知識を活かした有効なアドバイスを。

ゼミナール

 私の卒研テーマは、食物アレルギーに対応した小麦粉・卵・乳製品を使わないスポンジケーキ作り。材料には、米粉、蜂蜜、山芋などを使います。米粉の種類が変わるとレシピや手順は全く同じでも、味や食感がまるで遣うものに。そこで、何種類かの米粉を使い分けて食べ比べたり、官能評価や物性の測定データを解析したり、どの米粉が最もスポンジケーキに合うかを調べました。興味深いのは、アレルギー体質のお子さんとお母さま方が試食すると1種類のケーキに人気が集中するのに、アレルギーを持たない大学のクラスメートたちが試食すると好みが別れること。日頃食べ慣れているものが遣うと、好みも全然違うんですね。
 やり遂げるまでには時間がかかるけれど、ひとつのテーマに集中して打ち込めるのは卒業研究だけ。「生み出す」と言うと大袈裟ですが、色々な準備からプレゼンテーションまで、自分の手で創り上げていく面白さ、大変さを実感しました。
 食物アレルギーのお子さんを持つお母さま方を取材してわかったのは、栄養士の資格を持っている人から、きちんとした対応をしてもらっていないとお母さま方が感じていること。まず現場に立つ栄養士がアレルギーについて熟知するだけでなく、毎日の食生活でどんなことに意識すべきかアドバイスできるようにならなければと思いました。近頃、食物アレルギーに対する理解は深まってきたものの、それでも制限を強いられ、苦しんでいる人は大勢います。私が今まで経験してきたこと、栄大で学んだことを、社会で役立てていきたいです。

私の研究室

准教授 松田康子
 
研究室名
調理学第一研究室
准教授
松田 康子(まつだ やすこ)
プロフィール
女子栄養大学栄養学部栄養学科卒業。
平成16年女子栄養大学助教授、
平成19年より現職。

調理を幅広い視点でとらえて、
実際の食生活に役立てる。

 調理学第一研究室のスタッフは私も含めて8人で、大学の中でも一番の大所帯です。食材や器具を含めた食にも見られる現代社会の急激な変化に対応した調理のあり方について、本学創立者の香川綾先生の言葉である「食は生命なり」を頭に入れた日本型の食事が調えられるように、調理技術教育も含めた実践的な研究をすすめている研究室です。
 私の研究テーマのひとつに、日本の家庭における食べられ方の変遷があります。「どんなものをどんな風に食べているか」、「手作りなのか店で買ったお惣菜なのか」などを10年毎に調査しています。また、最近は食物アレルギー対応のレシピ開発に取り組んでいます。食物アレルギーのお子さんを持つお母さまの会とのコラボレーションを臨床栄養療法学研究室と行ない、学生が食物アレルギー対応のメニューをお母さま方と話し合いながら決めて、参加者と一緒に料理を作り、交流をする機会になっています。学生たちは栄養士・管理栄養士として食物アレルギーの人たちとどう向き合うかを考えるきっかけにもなっているようです。
 他には、下処理に使われる塩が、脱水することでどの程度抜けているのかを調べる研究、一般の方でも手軽に使える四つの食品群クッキングデータベースの構築も進めています。
 常に「実際の調理に活かせる」ことを心がけるように学生には指導をしています。アレルギ一代替メニューの提案もなるべく一般的な食材で入手しやすいものを使うこと、そして、おいしいこと。見た目がそっくりでもおいしくなくてはさびしいですからね。しかし、参加者全ての人に満点の提案はできないので、70、80点のものを提案して交流会に参加の人たちにも考えて頂きながら作ることで、学生は様々な工夫があることを知り、次のメニュー提案に活かせているようです。また、参加していただいた方は、料理の幅を広げつつ新しいレシピ提案にプラスアルファをして各家庭の味に作り上げて頂いていると思っています。