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教員インタビュー

■教授 武見 ゆかり(食生態学)

教授 武見ゆかり
 
人々のより良い「食」の在り方を研究し
現場での栄養活動など実践を目指す。
食生態学とは、人々の多様な「食の営み」を明らかにすることを目指す、栄養学の一領域。生活の質(Quality of Life)の向上につながるような食生活やライフスタイル、それらを実践しやすい食環境(フードシステムや栄養・食情報システム)について、階層的・構造的に明らかにし、現場の栄養活動に活かすことを目的としています。研究室では、地域や学校、職場などにおいて、健康のための理想的な食習慣の形成・定着を目指し、栄養教育と食環境づくりの両面からアプローチする研究を実施しています。研究活動をする上での哲学は「研究は常に実践のためであり、実践もまた研究のためである」という考え方です。研究をいかに現場に活かすか、また現場で生まれた課題をいかに研究として発展させるかの両方が重要であると考えています。こうした方針を反映してか、研究室には学部生や大学院生のほか、現場で活躍する管理栄養士や海外からの客員研究員など、多彩なメンバーが集っています。

■専任講師 西村 早苗(公衆栄養学)

専任講師 西村早苗
 
子ども達が楽しめる食育について考えながら
栄養士に必要な社会性も育みます。
田中久子教授と相談しながら研究室を運営していますが、ゼミや卒業研究に関してはそれぞれの方針で学生を指導しています。研究の主なテーマは、子ども達への食教育。子どもが楽しめる食育とはどのようなものかを考えると共に、臨地・校外実習で学生が学びを深めるためのプログラムを検討しています。学生のために心がけているのは、現場で活躍する栄養士や管理栄養士の方々と接する機会をたくさん作ること。自分達の学びがどのように社会で役立っているかを知ると、学生のモチベーションは上がり、より積極的に研究に取り組むようになるからです。また、栄養士や管理栄養士は職場に一人しかいないことが多く、他の専門職種や事務職の方々と協力して仕事を進める必要があるため、コミュニケーション能力やチームで協働する力などの社会性も養ってほしいと思っています。

■教授 小林 正子(発育健康学)

教授 小林正子
 
学生に身に付けてほしいのは
物事を科学的に考える力。
私が注目しているのは、子ども達の発育です。以前は時系列解析という方法で、発育に現れる日内変動や週内変動、季節による変動、そして「自己回帰過程」と呼ばれる身体リズムについて検討していました。しかしその後の研究によって、難しい解析を用いなくても、発育グラフを描くことで健康状態のかなりの部分が把握できることが明らかになってきました。そこで、子ども達一人ひとりの身体計測値を発育基準曲線上にグラフとして表せる「発育グラフソフト」を開発。学校に無償提供することで、発育グラフによる健康管理を推進しています。運動や食事、ストレスなど、発育に影響を及ぼすさまざまな要因について調べることが可能ですから、学生の研究にも大いに活用しています。学生に意識してほしいのは、物事の本質を科学的に考えること。栄大は努力家の学生が多く、将来に向けて真剣に授業や研究に取り組んでいますので、教員としてもそうした学生の期待に応える指導をしていきたいと考えています。

■教授 宮内 正(文化学)

教授 宮内正
 
カフェやレストラン、そして人々の関係を見つめ
変化し続ける食生活のあり方について考えます。
一杯のコーヒーを飲むために、なぜ人はカフェを訪れるのでしょうか。人々がカフェに求める「居心地がいい」「おしゃれな空間」といったイメージはどこから来るのか、なぜそう感じるのかを、食空間、食と社会、都市空間、個人主義、ブランド化、公共性…といったキーワードから考えています。大切にしてほしいのは、フィールドワークにおける体験。カフェやファミリーレストラン、ラーメン店といった空間で何が起きているのかを、常識にとらわれず冷静に観察し、考察する視点を養ってほしいですね。どんな人たちが、何を飲み、食べ、どのように過ごしているか、丁寧に見ていくことで、地域や時間帯による微妙な差異に気が付くはずです。そうしたフィールドでの成果を、学生それぞれがゼミに持ち帰って報告し、意見を交わします。その中で、既成の概念や常識、作法にとらわれていた閉じた思考回路から解放され、新たな視点を見い出すことができるのです。変容を続ける食文化を見つめ、その面白さを学んでほしいと思います。

■教授 板谷 幸恵(介護・保健学)

教授 板谷幸恵
 
人間が「より良く生きる」ための保健教育や
介護の在り方について考えています。
「生病老死」…もとは仏教の言葉で、人間にとって絶対に避けることができない4つの現象を指します。これらの現象に関する生活文化を、生活科学という視点から考えているのが私達の研究室です。「介護と保健教育のコラボレーションについて、現実問題の要因と活動との関係」と題し、より良く生きるための保健教育はどうあるべきか、またそれを支えるための介護の在り方について追究しています。主なテーマは、登校拒否、性教育、介護問題、精神保健、死の教育(デスエデュケーション)、いのちの教育、医療、栄養教育など。学生一人ひとりの自主的な研究意欲を重んじ、教育実習や介護等体験など学外実習とのバランスも考えながら、細やかな指導を行うよう心がけています。栄大の学生は、「食は生命なり」の精神に基づいて食の大切さを実践・習慣化しているなど、意識の高い学生が多いと感じます。これからも、研究室が情報と経験の良き交換の場であるよう、学生の皆さんと共に学んでいきたいと思っています。

■教授 三好 恵子(給食管理)

教授 三好恵子
 
大量調理をはじめとする給食の管理を
自ら考えながら、身に付けてほしい。
栄養士として就職した学生が、現場ですぐに関わることになるのが、業務用の大量調理機器です。給食に求められる栄養と美味しさは、こうした大量調理機器をうまく活用し、調理プロセスをコントロールすることによって実現できます。調理とは、食品を食べられる状態にするために必要なものであり、中でも加熱調理は栄養素の消化・吸収を高めたり、食味や香りを増したりする、非常に重要な操作です。本研究室では、さまざまな食品について調理条件の検討を行っているほか、農林水産省の委託により「独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所」との共同研究も実施しています。
実験実習やゼミにおいて、学生には、あえて困難なテーマに取り組むことで、自ら考える力や、栄養士としての実践力を身に付けてほしいですね。栄養士の仕事の中でも、給食はとくに専門性が活かせる分野。多くの学生が給食施設へ就職しますが、利用者の方に存在感を示せるような栄養士として活躍してほしいと思っています。