6月の雨の季節に入るころ。今年も「梅しごと」の季節がやってきました。
今年は申(さる)年。平安時代、第62代村上天皇が、申年に漬けた梅干と昆布茶で病を治したという言い伝えから、
申年の梅は「難がさる」「病がさる」といわれ、縁起物として古くから重宝されてきました。そんな縁起のよい梅を使って、梅の甘露煮づくり。
みなさんは「梅」と聞いて、思い浮かべるものは何でしょうか? 私は、梅といえば「梅干し」。すっぱくてしょっぱいのが「梅」というタイプ。 どちらかというと青梅の甘露煮とか、青梅のゼリーといった「甘い梅」というものに抵抗がありました。 そんな私が甘い梅に興味を持ったのは、2年前の「青梅の甘露煮づくり」ワークショップ。有名な料理家の先生に会えるという不純な動機からでした。
そんなヨコシマな理由で作り始めた私もハマった青梅の甘露煮。材料は、青梅、砂糖、水。とってもシンプルです。
季節を楽しむ保存食 vol.3でも書いたように、使用する梅は、若くて硬い青梅がいいそうです。 ワークショップでも、そうやって習いました。 本を見てもインターネットで検索しても、たいていそう書いてあります。 熟した梅は、皮が破れやすく煮崩れしやすいそうです。でも、黄色く熟した梅の方がおいしくなりそうだと思いませんか? ほんのり桃のような香りがする、熟した梅。参加したワークショップでいただいた梅のおみやげの中に、熟したものがあったので、 試しに作ってみました。結果は・・・皮が破れました。青梅よりも果肉が軟らかいので煮崩れました。 先生から教えて頂いた通りでした。見た目はイマイチな仕上がり。でも味は青梅と変わらずおいしかったです。
砂糖は、上白糖、グラニュー糖、氷砂糖、てんさい糖、きび糖、黒糖など、お好みのものを使ってください。 私は、昨年は上白糖と黒糖で作りました。上白糖はすっきりした甘さで、見た目もきれいに仕上がりました。 黒糖は、独特のコクがある甘さで、上白糖よりも甘みが強く感じられました。 仕上がりが黒くなって見栄えが悪いのが欠点ですが、我が家では黒糖で作った甘露煮の評判がよかったです。
食べごろは当日から。と書いてあるレシピが多いです。 作った当日から食べられますが、まだ酸味が残っています。 私のオススメの食べごろは作ってから2~3日後。酸味が和らいで甘くなってくる頃です。
保存期間は、1か月というレシピもあれば、6か月、10か月、1年というものまで。 私は、1カ月くらいで食べ終わってしまったので、どれくらい保存できるのかは定かではありませんが、 長期保存する場合は、砂糖の量を梅の重量に対して70%以下にしないこと、保存容器をしっかり消毒し、 梅がシロップにきちんと浸かっているようにしてください。
梅を食べた後のシロップは、捨てないで、ぜひ活用してください。 私は、上白糖で作った時は、煮物などの料理に使いました。 黒糖で作った時は、ゼリーを作ったり、黒みつのかわりにあんみつにかけたりしました。
今年は、上白糖を使って、甘露煮をつくりました。 梅酒や梅シロップとくらべると、かなり手間がかかりますが、6月のこの時期にしかできない梅しごと。ぜひ、お試しください。
(食文化別館HP制作チーム ・ 新井純子/2016.06.29)
参考ウェブサイト
季節を楽しむ保存食 vol.3 →:
梅シロップづくり
青梅の甘露煮づくり 覚え書き
「おいしい青梅の甘露煮づくりのための基本データ」
材料:梅、砂糖、水
梅:若く果肉が硬い新鮮な青梅を使うとよい
(黄色く熟した梅は、皮が破れやすく、果肉が柔らかいので、煮崩れしやすい)
砂糖:上白糖、グラニュー糖、氷砂糖、てんさい糖、きび糖、黒糖など好みのものを使用する
上白糖、グラニュー糖、氷砂糖は、すっきりした甘さに仕上がる
てんさい糖、きび糖、黒糖は、コクのある甘さに仕上がる
使用する道具:竹串、鍋、保存容器
保存容器:ふたがきっちり閉まるものがよい
使用する前は、しっかり消毒する。
鍋:ホウロウや土鍋、ガラス製を使用する。酸で腐食しやすい金属素材の使用は避ける。
保存容器:広くて浅いものがよい。煮あがった梅はとても柔らかく崩れやすいので、保存する際に梅が重ならないようにするため。
使用する前は、しっかり消毒する。
「青梅の甘露煮」の作り方
材料
青梅500g、砂糖400g(梅の重量の80%)、水
1 青梅を水洗いし、竹串でなり口(ヘタ)をとる
2 竹串で梅全体にまんべんなく穴をあける
目安は10~20カ所くらい
穴をあけるのは、梅の果実が煮崩れるのを防ぐため
穴が大きすぎても煮崩れの原因になるので、注意する
3 梅を1時間ほど水に漬け、あくを抜く
4 鍋に梅を並べ、水をかぶるくらいまで注ぎ弱火にかける
熱くなった鍋底に、梅が当たらないよう、手でゆっくりかき混ぜながらゆでる
熱くなって手が入れられなくなったら火を止めて水をかえる(やけどに注意する)
5 4の作業を3~4回繰り返す
6 鍋に、5の青梅、かぶるくらいの水、1/3の量の砂糖を入れ中火にかけ、沸騰直前で弱火に落とし、5分煮る
アクを丁寧に取り除く
ぐらぐら沸騰させてしまうと皮が破れやすくなるので沸騰させない(7、8も同様)
7 残りの半分の砂糖を入れ、弱火のまま5分煮る
8 残りの砂糖を入れ、弱火のまま5分煮たら、粗熱が取れるまで、そのまま冷やす
9 梅を保存容器に静かに移す
10 煮汁を少し煮詰めて粗熱を取り、容器に静かに注ぐ
煮汁がしっかり冷めたら冷蔵庫で保存する
※梅を火にかけている間(4~8)は、目を離さないこと