昨年の8月9日に、農八会主催の飯能市エコツーリズム・ツアー
「昔野菜“固定種”を食べる会~種から食べることについて考えよう~トマト編」に参加してきました。
農八会とは、農業に関心のある若者たちが、飯能市を農で盛り上げようと食育事業やエコツアーなど
農に触れてもらう機会を企画運営している団体です。
今回のツアーでは、農園にてタネの採り方について学び、固定種野菜の収穫体験をおこなった後、
地元のイタリアンレストラン「イーズパッション」にてトマトの食べ比べをし、固定種野菜を使った創作料理をいただいてきました。
●固定種ってなに?●
何世代にもわたり、絶えず選抜・淘汰され、遺伝的に安定した品種のことを「固定種」といいます。
地域の気候・風土に適応しており、伝統野菜と称されることもあります。
私達が日頃スーパーなどで目にしている野菜は「F1種」と呼ばれるものです。
F1種とは、異なる性質の種を人工的に掛け合わせてつくった雑種のことを言います。
これは生育が盛んで、大きさも風味も均一であり、大量生産が可能です。
一方、固定種は生育時期や形、大きさなどがそろわないことがあり形はさまざま・・・。
しかし、うま味や栄養価は高いと言われており、近年注目されています。
現代では栽培が効率化され、多くの人にきれいな野菜を届ける農業が一般的ですが、
その土地や気候にあわせてゆっくりと栽培されるのが固定種野菜といえます。
●固定種野菜の収穫体験●
はじめに、農八会で管理する畑で固定種野菜の収穫体験を行いました。
辺りは畑ばかりの場所で、家などはほとんど見られませんでした。
風が吹くと日陰では涼しく感じられましたが、猛暑の中での作業は厳しく感じました。
畑は上下に分かれており、上段ではトマトを主に栽培しており、下段ではナス、オクラ、きゅうりなどが栽培されていました。
中にはとても大きく成長している実もありましたが、
それらの実から新たな固定種のタネを採るために収穫を先延ばしにしているということを知りました。
●トマトのタネの採取方法●
トマトのタネを採取するためには、完熟させてから収穫します。
その後、追熟させるためトマトを逆さにして置いておきます。果肉は死んでもタネは生きているそうです。
追熟を終えたら、トマトの上部を切り落とし中のゼリー状の部分を水できれいに洗います。
22~27℃で発酵させ、分離させます。水に入れ沈むものと沈まないものに分けます。
沈むものが良いとされています。最後にコーヒーフィルターで濾し、風通しの良いところで乾かします。
ある程度乾いたら冷蔵庫に入れておきます。これでトマトのタネの採取は完了です。
●固定種野菜の食べ比べ●
タネの採取体験の後は、「イーズパッション」というお店に移り、 固定種とF1種を実際に食べ比べし、
ツアーに参加した方々とディスカッションをしました。
見た目、食感、香り、風味ともに各種に違いがありました。
人によっても意見に違いがあり、それぞれに感じ方が異なり興味深かったです。
●たっぷりの固定種野菜を使ったコース料理●
その後、今回のメインであるトマトや他の様々な固定種の野菜を使用した、ガスパチョ、冷製パスタ、
グラタン、そしてシェフお手製のスイーツを頂きました。
冷静パスタには赤シソのシャーベットがのっており、初めはその鮮やかな色に驚きました。
パスタと赤シソを混ぜて食べるとさらに美味しくなり、
調理方法によってたくさんの味が生み出されることをあらためて気づかされました。
参加した皆で、ひとつひとつ野菜の美味しさに驚きながら楽しんで食べることができました。
●最後に・・・●
今回のツアーに参加して、固定種野菜の存在と美味しさを知ることができました。
そして、長い間絶えることなく栽培されてきた固定種野菜をこれからも守りつづけ、
多くの人たちにその美味しさを知ってもらいたいと思いました。
皆さんもぜひ、農八会のツアーに参加して、固定種野菜を味わってみてください!
参考ウェブサイト
固定種野菜をふんだんに使って料理をしてくださったイーズパッション →:
イーズパッション
(平口ゼミ ・ 3年 ゼミ生一同/2016.02.15)