「上手に育てると1つの木で100個以上のレモンが収穫できる」
そんなエッセイを読んでレモンの木を買ったのは5年くらい前。未だ自家製レモンの夢は実現しませんが、
レモンが100個実ったときに果実酒が作れるように、柑橘を使った果実酒作りのワークショップへ参加してきました。
一昨年の夏に自宅でプラムを漬けたことがありますが、柑橘ははじめて。
はっさく、清見オレンジ、日向夏、レモン、氷砂糖、ウォッカを使った果実酒。
色とりどりの柑橘が、キラキラとお酒にうかんでいる様子は、見ていてとてもわくわくします。
色鮮やかな果実を使って作る果実酒は、飲んでおいしいだけではなく、漬けている間の果物の変化を眺めるのも楽しいもの。
ということで、復習をかねて作ってみました。今回の材料は、はっさく、土佐小夏、レモン、氷砂糖、ホワイトリカー。
保存容器は、密閉性のあるガラス製の広口瓶をつかいます。よく洗ってしっかり乾燥させ、使用する前にアルコールで消毒します。
柑橘は、包丁を使って皮をむきます。白いワタの部分は苦味が出るので丁寧に取り除いて下さい。
皮をむいた柑橘類と氷砂糖を瓶に入れ、ホワイトリカーを注いだら完成。あとは出来上がりを待つだけです。
漬け込む果実の種類によって、飲みごろのまでの期間は異なりますが、柑橘の果実酒は1ヵ月後くらいから。 漬け込んだ果実は、お酒を飲む際に食べやすい大きさにカットして一緒に食べたり、お酒から引き上げてジャムにすることができます。
ワークショップでは、先生が作ってきてくださった果実酒の試飲もありました。
「柑橘×ホワイトリカー」(1ヶ月)、「いちご×ウォッカ」(1ヶ月)、「梅×ホワイトリカー」(1年)、
「さくらんぼ×ホワイトラム」(2年)の4種類でした。
熟成期間が短い柑橘といちごは、すっきりした甘さで、1年以上熟成された梅、さくらんぼは、アルコールのとげとげしさがなくなり、
甘みが強くまろやかな味になっていました。私は2年熟成させた「さくらんぼ×ホワイトラム」が、一番飲みやすかったです。
今回作った柑橘の果実酒も、2年くらい熟成させると、まろやかな味になるのかなと思いますが、
2年後、いったいどれくらい残っているでしょうか。
今回、このコラムを書くにあたり、果実酒の本やアルコールメーカーのサイト、個人のブログやホームページ、
各種レシピサイトを調べて生まれた疑問。
「漬け込んだ果実は、一体、いつお酒から引き上げるのが一番よいのか」
いちごひとつとっても「1週間程度」から「2ヶ月後」まで、かなりの幅があります。
私なりに得た結論。
・柑橘類の果皮は、苦味が出るので1ヵ月くらいで引き上げた方がよい。
・果実がアルコールに漬かっている(空気に触れていない)状態であれば、
腐敗することはほぼないので、長期間漬けておいても問題はない。
・果実を引き上げても熟成が進んでおいしくなるらしいので、ある程度の時間が経過したら引き上げてもよい。
ちなみに、私が参加したワークショップでは、1ヵ月熟成させ、味をみて柑橘から苦味が出ているようだったら、
果実を引き上げる。ということでした。
今年は、これから旬を迎える梅やさくらんぼ、ブルーベリー、桃の果実酒にも挑戦してみたいと思います。 今回仕込んだ柑橘酒や、そのほかの果実酒は、機会がありましたらご報告します。
最後に、覚え書きとして「柑橘の果実酒」の作り方の手順と、土佐小夏の皮で作ったおやつ「土佐小夏のピール」の作り方、 おいしい果実酒づくりのための基本データを載せました。ぜひご覧ください。
(食文化別館HP制作チーム ・ 新井純子/2015.05.07)
柑橘で果実酒づくり 覚え書き
「柑橘の果実酒」の作り方
1 保存瓶をよく洗い、しっかり乾燥させ、使用する前にアルコールで消毒する
瓶の大きさは、作りたい酒の分量の2倍程度の大きさが必要
今回は、柑橘類 600g、氷砂糖 200g、ホワイトリカー 1000ccにする予定だったが、
1.5Lの瓶を購入したため、ホワイトリカーは、柑橘がひたる程度にした
2 柑橘類は、皮をむく
白いワタの部分は、苦みが出るので丁寧に取り除くとよい
3 保存瓶に柑橘、氷砂糖を入れ、ホワイトリカーを注ぎ入れる
4 直射日光を避け冷暗所に保存する
1ヵ月後くらいから飲み頃になり、2~3ヶ月熟成させると味がまろやかになる
1か月後に味見をしてみて、柑橘から苦味が出ているようだったら、果実を引き上げる
「土佐小夏のピール」
「おいしい果実酒づくりのための基本データ」
基本的な材料は、果実、糖類、酒類の3つ
果実:新鮮なもの、果実にキズがないもの、熟す直前のものを使う。
キズや傷みがあるもの、熟しすぎた果実を使うと、お酒が濁ってしまうことがある。
糖類:お酒に甘みをつけるだけでなく、果実のエキスや香りを出す役割がある。
純度が高く、ゆっくり溶ける氷砂糖を使うのが一般的。
はちみつや黒糖などを使うこともある。
酒類:果実のエキスを引き出し、雑菌の繁殖を防いで長期保存する役割がある。
アルコール度数が高く、無色透明、無味無臭のホワイトリカーを使うことが多い。
ウォッカ、ジン、ホワイトラム、ブランデーやウィスキーなど色々な種類のお酒で作ることができる。
ただし、アルコール度数が20度以上のものを使用すること。20度以下の酒類に果実を漬けこむことは、酒税法違反になる。
米、麦、あわ、とうもろこし、ぶどうなども漬け込むことが禁止されている。
参考Webサイト
国税庁ホームページ →:お酒についてのQ&A【自家醸造】