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季節を楽しむ保存食 vol.2

柑橘で果実酒づくり

2015.05.07 連載コラム
季節を楽しむ保存食 img01

 「上手に育てると1つの木で100個以上のレモンが収穫できる」
そんなエッセイを読んでレモンの木を買ったのは5年くらい前。未だ自家製レモンの夢は実現しませんが、 レモンが100個実ったときに果実酒が作れるように、柑橘を使った果実酒作りのワークショップへ参加してきました。
 一昨年の夏に自宅でプラムを漬けたことがありますが、柑橘ははじめて。
 はっさく、清見オレンジ、日向夏、レモン、氷砂糖、ウォッカを使った果実酒。 色とりどりの柑橘が、キラキラとお酒にうかんでいる様子は、見ていてとてもわくわくします。 色鮮やかな果実を使って作る果実酒は、飲んでおいしいだけではなく、漬けている間の果物の変化を眺めるのも楽しいもの。

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保存瓶に皮をむいた柑橘と氷砂糖を入れます

 ということで、復習をかねて作ってみました。今回の材料は、はっさく、土佐小夏、レモン、氷砂糖、ホワイトリカー。
 保存容器は、密閉性のあるガラス製の広口瓶をつかいます。よく洗ってしっかり乾燥させ、使用する前にアルコールで消毒します。
 柑橘は、包丁を使って皮をむきます。白いワタの部分は苦味が出るので丁寧に取り除いて下さい。 皮をむいた柑橘類と氷砂糖を瓶に入れ、ホワイトリカーを注いだら完成。あとは出来上がりを待つだけです。

 漬け込む果実の種類によって、飲みごろのまでの期間は異なりますが、柑橘の果実酒は1ヵ月後くらいから。 漬け込んだ果実は、お酒を飲む際に食べやすい大きさにカットして一緒に食べたり、お酒から引き上げてジャムにすることができます。

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ホワイトリカーを注いで完成です

 ワークショップでは、先生が作ってきてくださった果実酒の試飲もありました。
「柑橘×ホワイトリカー」(1ヶ月)、「いちご×ウォッカ」(1ヶ月)、「梅×ホワイトリカー」(1年)、 「さくらんぼ×ホワイトラム」(2年)の4種類でした。
 熟成期間が短い柑橘といちごは、すっきりした甘さで、1年以上熟成された梅、さくらんぼは、アルコールのとげとげしさがなくなり、 甘みが強くまろやかな味になっていました。私は2年熟成させた「さくらんぼ×ホワイトラム」が、一番飲みやすかったです。 今回作った柑橘の果実酒も、2年くらい熟成させると、まろやかな味になるのかなと思いますが、 2年後、いったいどれくらい残っているでしょうか。

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ワークショップでは、ウォッカを使いました

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試飲した果実酒
左上から時計まわりに「いちご」「梅」「柑橘」「さくらんぼ」

 今回、このコラムを書くにあたり、果実酒の本やアルコールメーカーのサイト、個人のブログやホームページ、 各種レシピサイトを調べて生まれた疑問。
 「漬け込んだ果実は、一体、いつお酒から引き上げるのが一番よいのか」
いちごひとつとっても「1週間程度」から「2ヶ月後」まで、かなりの幅があります。

私なりに得た結論。
・柑橘類の果皮は、苦味が出るので1ヵ月くらいで引き上げた方がよい。
・果実がアルコールに漬かっている(空気に触れていない)状態であれば、 腐敗することはほぼないので、長期間漬けておいても問題はない。
・果実を引き上げても熟成が進んでおいしくなるらしいので、ある程度の時間が経過したら引き上げてもよい。
 ちなみに、私が参加したワークショップでは、1ヵ月熟成させ、味をみて柑橘から苦味が出ているようだったら、 果実を引き上げる。ということでした。

 今年は、これから旬を迎える梅やさくらんぼ、ブルーベリー、桃の果実酒にも挑戦してみたいと思います。 今回仕込んだ柑橘酒や、そのほかの果実酒は、機会がありましたらご報告します。

 最後に、覚え書きとして「柑橘の果実酒」の作り方の手順と、土佐小夏の皮で作ったおやつ「土佐小夏のピール」の作り方、 おいしい果実酒づくりのための基本データを載せました。ぜひご覧ください。

(食文化別館HP制作チーム ・ 新井純子/2015.05.07)


柑橘で果実酒づくり 覚え書き

「柑橘の果実酒」の作り方
1 保存瓶をよく洗い、しっかり乾燥させ、使用する前にアルコールで消毒する
瓶の大きさは、作りたい酒の分量の2倍程度の大きさが必要
今回は、柑橘類 600g、氷砂糖 200g、ホワイトリカー 1000ccにする予定だったが、 1.5Lの瓶を購入したため、ホワイトリカーは、柑橘がひたる程度にした
2 柑橘類は、皮をむく
白いワタの部分は、苦みが出るので丁寧に取り除くとよい
3 保存瓶に柑橘、氷砂糖を入れ、ホワイトリカーを注ぎ入れる
4 直射日光を避け冷暗所に保存する
1ヵ月後くらいから飲み頃になり、2~3ヶ月熟成させると味がまろやかになる
1か月後に味見をしてみて、柑橘から苦味が出ているようだったら、果実を引き上げる

「土佐小夏のピール」

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果実酒づくりに使った土佐小夏の皮を使っておやつづくり

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皮を1cm幅に切って、皮の苦味をとるために、数回茹でこぼします

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グラニュー糖を入れて煮ます

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乾燥させてグラニュー糖をまぶして完成

「おいしい果実酒づくりのための基本データ」

基本的な材料は、果実、糖類、酒類の3つ

果実:新鮮なもの、果実にキズがないもの、熟す直前のものを使う。
キズや傷みがあるもの、熟しすぎた果実を使うと、お酒が濁ってしまうことがある。

糖類:お酒に甘みをつけるだけでなく、果実のエキスや香りを出す役割がある。
純度が高く、ゆっくり溶ける氷砂糖を使うのが一般的。
はちみつや黒糖などを使うこともある。

酒類:果実のエキスを引き出し、雑菌の繁殖を防いで長期保存する役割がある。
アルコール度数が高く、無色透明、無味無臭のホワイトリカーを使うことが多い。
ウォッカ、ジン、ホワイトラム、ブランデーやウィスキーなど色々な種類のお酒で作ることができる。
ただし、アルコール度数が20度以上のものを使用すること。20度以下の酒類に果実を漬けこむことは、酒税法違反になる。 米、麦、あわ、とうもろこし、ぶどうなども漬け込むことが禁止されている。

参考Webサイト
国税庁ホームページ →:お酒についてのQ&A【自家醸造】