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私の食物栄養学演習(ゼミ)(短期大学部・食物栄養学科)

研究分野
食品化学
ゼミテーマ
食品に含まれるビタミン類に
光が与える影響
 

蛍光灯に照らされた食品の栄養の変化は、
メーカーや小売店にとって大きな問題。

 最近のスーパーマーケットは、昔に比べて照明が明るくなっています。それは、食材をより新鮮においしそうに見せる工夫。その照明によって、さまざまな食品が栄養的にどのような影響を受けているのかを調べました。
 対象としたのは数十種類の肉や魚、乳製品や大豆などの食品。それらを同じ照度で蛍光灯、紫外灯に6時間・12時間当て、ビタミンB2がどのように減少していくかを検討しました。このテーマを選んだきっかけのひとつに、液体ク口マトグラフィーを使った実験ができるという理由がありました。この機器を扱うことは、就職の際に有利になるので経験を積んでおきたかったのです。そして元々実験が好きだったこと、1年生の時に食品学総論で教わった春日先生のゼミだということも大きな理由でした。
 実験では試薬作りや、実際の一連の操作も、正確なデータを取るために慎重さが求められます。当初は手際も悪かったので、実験前日には自分でシミュレーションしたり、作業時間を短縮するための方法をノートにまとめて、チェックしながら進めたり。5人での共同研究でしたが、それぞれが工夫をしました。
 結果は、食品が直接見えるような包装のチーズや乳製品を使った食品はもっともビタミンB2の減少が激しく、大部分が失われてしまうことがわかりました。見た目には変わりませんが、データを取ってみて初めてわかることがたくさんありました。このゼミでの研究を通し、食品の品質保持に対する興味が一層高まりました。

私の研究室

准教授 春日敦子
 
研究室名
食品化学研究室
教授
春日 敦子(かすが あつこ)
プロフィール
女子栄養大学栄養学部栄養学科卒業。
博士(栄養学)。
女子栄養大学短期大学部助手、
専任講師を経て、平成19年より現職。

日本人にとって身近な食材、
山菜、野草、キノコの抗酸化物質を探し出し、
生活習慣病や老化防止への効果を追求する。

 この研究室では代々、キノコに関する研究を行ってきました。日本は世界的に見てもさまざまな種類のキノコを日常的に食事に取り入れています。他の国でもキノコを食用とし、研究がなされていますが、この研究室ではシイタケなどの一般に栽培されているキノコ以外に野生の、特に栽培していない、天然のキノコや野草も研究しています。
 人は誰でも活動すれば、体内に活性酸素が発生します。それが生活習慣病や老化の原因のひとつと言われていますが、人が生きていく限り活性酸素の発生そのものを防ぐことはできません。そこで食品の抗酸化作用が注目されています。キノコ、山菜、野草と簡単に言いましたが、研究は素材を用意するところから始まります。ところが、栽培されていないキノコや野草は、試料を集めるだけでも大変です。天候によっては思うように手に入らないこともありました。それでも長年にわたって研究を続けるだけの価値が、これらの食材にはあります。
 食品の機能には1次機能から3次機能まであり、1次は「栄養」、2次は「嗜好」、3次は「身体の調節」機能です。この3次機能を特徴づけた食品を機能性食品と呼んでいますが、抗酸化作用も3次機能に該当します。食事をする時に、栄養や機能を考えながら食べることは少ないかもしれません。それでも、ふだん私たちが何気なく摂っている食品も、身体にとって必要不可欠な機能がつまっているものだということを知ってもらえたらうれしいですね。